東海AI実践塾

介護事業所の記録整理にAIを使う前の設計

  • #介護 AI 記録
  • #個人情報と専門判断を守り、表記統一や申し送り補助に限定するための具体策を探している
  • #法人AI診断

観察した人が原記録を残す

介護記録にAIを使う場合も、最初に記すのは職員が実際に観察した事実です。時刻、行動、本人の発言、職員が行った対応を原記録として保持し、AIで整えた文は別欄に置きます。観察していない事実の補完、状態の診断、支援方針の決定、緊急性の判定は任せません。

氏名を消すだけで安全になるとは限りません。居室、家族関係、既往に関する記述、まれな出来事の組み合わせから本人が分かる場合があります。自社規程、個人情報の取扱い、関係機関の案内、利用環境の保存・共有条件を責任者が確認し、入力できる情報と使わない記録を決めます。

整理文は次の勤務への索引にする

整理の目的は、記録を短くして原文を読まなくてよくすることではありません。食事、活動、所持品、連絡など事業所で承認した分類に分け、各項目から原記録へ戻れるようにします。「確認済み」「次勤務で確認」「責任者へ報告」を区別し、整理済みを対応済みと誤認させない表示にします。

たとえばデイサービスの記録に「昼食は主食を半分ほど」「午後の体操は見学」「帰宅前に上着が見つからず職員と確認」とあれば、三つを別々の申し送り候補にします。「食欲不振」「体調変化」などの原因は補いません。食事量は所定の記録と照合し、上着の状況は担当職員へ確認します。家族へ連絡するかは責任者が既存手順で判断します。

交代時は声と記録の両方で渡す

日勤から夜勤、夜勤から日勤へ渡す際は、前勤務で確認した範囲と、次勤務が観察する範囲を分けます。未完了事項には担当者と確認時点を付け、重要事項は読み上げ、受け手が復唱します。記録一覧だけで緊急連絡を代替しません。

転倒、誤薬、体調急変など、事業所が定める状況ではAIによる分類を待たず、電話や報告など既存の緊急手順を優先します。夜間に確認者が限られる場合は、誰まで連絡するか、翌朝へ持ち越せるのは何かを事前に決めます。職員配置が変わったときは、不要な利用者情報へアクセスできないよう権限も見直します。

申し送り場面から逆算して試す

試行は一種類の記録、一つの勤務帯から始めます。

  1. 交代時に必要な項目と受け手を先に決める
  2. 原記録の記入者、確認者、保存先を整理する
  3. 入力禁止情報と識別方法を責任者が承認する
  4. 架空記録で分類、原文参照、推測禁止を試す
  5. 職員が時刻、数値、発言、対応を照合する
  6. 交代時に未完了事項が正しく伝わるか確認する
  7. 修正理由と負担を記録し、継続範囲を再承認する

複数利用者の記録はまとめず、一人、一記録単位で扱います。正式記録を整理文で上書きせず、障害時にも紙や既存システムで記録と連絡を続けられる状態を保ちます。

勤務終了前の安全確認

  • 原記録と整理文が区別されているか
  • 時刻、数値、本人の発言を原文と照合したか
  • 原因、診断、緊急性、支援方針を補っていないか
  • 別の利用者の情報が混ざっていないか
  • 未完了事項に受け手と確認時点があるか
  • 緊急事項を既存の連絡経路へ載せたか
  • 次勤務者が原記録へ戻り、復唱できたか

引き継ぎ後に新しい事実が分かったら、前の原記録を書き換えず、確認した時刻と確認者を付けて追記します。申し送りの誤りを訂正した場合も、どの勤務者へ訂正を伝えたかを残します。整理文だけを直すと、すでに読んだ職員へ変更が届かないため、交代後の訂正連絡を運用に含めます。

定期的な振り返りでは、表記の揺れだけでなく、次勤務で確認されなかった項目、責任者報告へ届かなかった項目、原文と意味が変わった修正を見ます。自由記述が長くなる原因が記録様式にあるなら、観察事実、本人の発言、行った対応を別欄にします。本人の発言は、読みやすさを理由に標準語へ直して意味を変えないよう原文を残します。

新しい勤務帯や記録種類へ広げる際は、同じ分類が使えると決めつけません。訪問、通所、入所など業務の流れが異なれば、受け手と確認時点を改めて決めます。利用者や家族への説明が必要となる場面も、事業所の方針に沿って責任者が検討します。

確認できない項目は「責任者確認」と明示し、きれいな文章で隠しません。修正が多い場合は、職員への注意だけで終えず、記録欄や承認用語集を直します。介護のAI記録活用で守るべきものは、文章の統一感より、観察事実と人から人への安全な引き継ぎです。勤務交代を含む情報と業務の流れを整理したい場合は、法人AI診断をご利用ください。