東海AI実践塾

研修後に使えるプロンプト集の作り方

研修後に使える社内プロンプト集を、1か月で試作・審査・限定公開・改訂する手順を解説。入力項目、禁止情報、期待出力、確認観点、版番号、テスト結果を一枚にまとめます。

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研修当日:安全な演習から候補を出す

ここでは、従業員30人の架空の部品メーカーを想定します。研修では「公開済みの架空製品Aについて、展示会後のお礼文を作る」という演習を行います。顧客名、担当者名、メールアドレス、見積額、図面番号、未公開の仕様は使いません。入力するのは、主催者が用意した架空の製品説明、面談メモ、希望する文体だけです。

演習終了時、参加者は良い文章そのものではなく、再利用候補を一枚提出します。提出欄は、用途、利用者、許可された入力、禁止する項目、指示文、期待する出力例、確認方法、失敗時の停止条件です。担当者は候補ごとに仮番号を付け、提出者の感想だけで採用しません。安全な演習で一度動いたことは候補条件であり、実務利用の承認ではないからです。

第1週:責任者がカードを完成させる

製造部長を業務責任者、研修担当を管理責任者とします。業務責任者は用途と正解条件を確認し、管理責任者は入力範囲と禁止項目を確認します。判断できない情報区分があれば審査を止め、情報管理の責任者へ回します。カードには版番号、作成日、所有者、対象者、有効期限も記録します。

完成した架空のプロンプトカード

名称・版:設備点検メモの引き継ぎ文、v0.1
用途:架空の設備「プレス1」の点検演習メモから、次の担当者向け下書きを作る。保全判断や修理指示には使わない。
許可された入力:架空の設備名、点検日時、「異音なし」「油量は基準線内」など選択式の観察結果、次回確認日。
禁止する項目:実在する設備番号、作業者名、事故・けがの情報、取引先名、未公開の生産量、図面、認証情報、自由記述の個人評価。
指示文:「次の架空の点検メモだけを使い、①確認済み事実②次回の確認事項③判断できない点、の順で各2文以内に整理してください。入力にない原因や安全判断を補わず、不明点は『要確認』と書いてください。」
期待出力例:「確認済み事実:7月10日9時、異音なし。油量は基準線内。次回の確認事項:7月11日に油量を再確認する。判断できない点:部品交換の要否は要確認。」
人の確認:元メモと一文ずつ照合し、日時、観察結果、次回日が一致するかを見る。原因、交換要否、稼働可否が追加されていたら使用しない。現場責任者が内容を承認してから引き継ぐ。
テスト:通常例、次回日が空欄の例、禁止情報を混ぜた例の3件。空欄で「要確認」となり、禁止情報入りは入力前に担当者が止められることを確認する。

第2週:テストして承認する

管理責任者は、作成者とは別の確認者に3件のテストを依頼します。通常例では期待出力と項目順を比べ、欠損例ではAIが日付を作っていないかを見ます。禁止情報例はAIへ送らず、入力者が停止できるかを確認します。出力の読みやすさだけでなく、原文にない判断の追加、数値の変化、禁止項目の混入を記録します。

3件を通過したら、業務責任者が「対象業務」「対象者」「人が行う最終確認」を署名欄で承認します。承認後にv1.0とし、変更できるのは所有者だけにします。不合格ならv0.2へ戻し、理由と修正箇所を残します。

却下する失敗プロンプト

「昨日の設備トラブルについて、作業日報と担当者情報を読んで原因を特定し、再発防止策と責任者への評価を書いてください。」

これは採用しません。入力範囲が曖昧で、事故情報や個人情報、実設備の機密が入り得ます。また、限られた日報だけで原因を特定させ、技術判断と人事評価まで任せています。期待出力の根拠、原文照合の手順、停止条件もありません。「匿名化すればよい」と直すだけでは足りず、原因分析と人物評価を用途から外し、安全が確認された観察項目の整理へ分ける必要があります。

第3週:少人数へ限定公開する

最初の公開先は、点検業務を理解する2人と承認者1人に限定します。利用者にはv1.0のカード全体を渡し、指示文だけをコピーさせません。5営業日、架空データまたは社内規程上入力が許可されたデータだけで試し、すべての出力を元資料と照合します。外部送信、設備の稼働判断、修理指示への転用は禁止します。

フィードバックは「便利だった」ではなく、入力、実際の出力、期待との差、利用を止めたか、修正案で記録します。たとえば「次回日が空欄なのに翌日と補った」「観察結果を原因のように書いた」「禁止項目に気づき入力前に停止した」という失敗例を残します。前二つは公開を一時停止して修正する材料、最後は停止手順が働いた証拠として扱います。利用回数や好意的な感想だけで対象者を広げません。

第4週:改訂・廃止と月末監査を行う

所有者は失敗記録を読み、指示文、期待出力、テストのどこを変えるか決めます。意味が変わらない表現修正はv1.1、用途や許可入力を変える修正は再審査してv2.0とします。業務手順が変わった、所有者が不在になった、安全な入力範囲を定義できない、重大な誤出力をテストで防げない場合は「廃止」とし、利用を止めます。旧版には廃止日と後継版を示し、再利用しません。

月末監査では、管理責任者が①公開中の版番号と承認記録、②利用者の範囲、③テスト3件の結果、④失敗例と対応、⑤禁止情報が入力されていないこと、⑥継続・改訂・廃止の判断を確認します。確認できない項目が一つでもあれば翌月の公開を保留します。こうして、プロンプト本文だけでなく、入力条件、期待出力、原文照合、責任者、テスト、履歴までを一つの運用単位として残します。

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