東海AI実践塾

士業事務所のAI活用で守るべき情報管理

  • #士業 AI活用 情報管理
  • #依頼者情報、案件資料、専門判断を分離し匿名化と確認を徹底するための具体策を探している
  • #法人AI診断

相談を受けた時点で利用可否を分ける

士業事務所のAI活用では、案件資料を開いてから匿名化を考えるのでは遅すぎます。電話、問い合わせフォーム、紹介者からの連絡を受けた時点で、AIを使わない案件、公開情報だけで補助できる作業、責任者の承認後に扱う作業へ分けます。守秘義務、自社規程、依頼者との契約、利用環境の条件を確認し、判断できない資料は入力しません。

氏名や住所を消しても、希少な業種、日付、金額、家族構成、相手方の情報を組み合わせると依頼者が推測されることがあります。匿名化は文字を伏せる作業ではなく、再特定の可能性と、漏えいした場合の影響を案件単位で考える作業です。専門家による法的・制度的判断と、一般文面の構成補助も最初から分けます。

受付票から案件情報を持ち込まない

受付では、相談分野、利益相反確認に必要な情報、連絡先などを所定の場所へ記録します。AIへ渡す必要がなければ、その後の下書き作業へ複製しません。情報は「一般公開済み」「事務所内で共有可能」「案件担当者のみ」の区域に分け、区域をまたぐ移動には用途と承認者を付けます。

事務所内で共有可能な情報も、契約した環境なら無条件に入力できるわけではありません。管理者が保存、共有、学習への利用、削除、権限管理を確認します。案件担当者のみの区域には、相談内容、証拠、本人確認資料、相手方情報などを置きます。匿名化しても案件の核心が残る場合は、補助対象から外します。

一般案内と個別助言を別工程にする

相続相談後の持ち物案内を整える場面なら、実際の家族関係、財産、争いの内容は渡しません。事務所で承認した一般的な持ち物一覧と文体だけを使い、順序や平易な表現の候補を作ります。個別に必要な資料や期限は、担当専門家が原資料と最新の一次資料を確認して追加します。

実案件へ広げる前に、次の流れを架空案件で確かめます。

  1. 入力、出力、保存先、受取人を受付から送付まで図にする
  2. 各情報の区域と、区域を移す権限者を決める
  3. 一般案内だけで下書きし、案件情報が不要か確認する
  4. 推測禁止、根拠確認、専門判断をしない条件を明記する
  5. 担当専門家が現行資料に照らして承認する
  6. 承認者、送付先、案件記録への保存を記録する

出力を依頼者へ自動送信せず、宛先も人が確認します。例外案件は共通工程へ無理に載せません。

担当者・補助者・管理者のアクセスを分ける

利用者全員に同じ権限を与えると、担当外案件の情報へ触れる範囲が広がります。案件担当者、補助者、環境管理者の役割を分け、異動、休職、退職、担当変更時に権限を見直します。名古屋市内の本所と周辺地域の支所など複数拠点で運用する場合も、拠点名だけで一律に許可せず、案件担当と業務上の必要性でアクセスを決めます。

確認項目は次の通りです。

  • 入力目的を一文で説明できるか
  • 組み合わせ情報から関係者を推測できないか
  • 保存、共有、削除条件を管理者が確認したか
  • 専門判断と文章整理を分けたか
  • 法令、期限、提出先を一次資料で照合したか
  • 承認者と案件記録への保存方法が決まっているか
  • 担当変更時に不要な権限を外せるか

過去の良い下書きを別案件へ流用するときも、固有情報が残っていないか改めて確認します。

誤入力時は個人で収めず事務所で動く

誤って情報を入力した場合、本人が画面上で削除して終わりにはしません。利用を止め、管理者と所定の責任者へ連絡し、入力内容、時刻、利用環境、行った対応を記録します。その後の確認や報告は、契約条件と事務所の事故対応手順に沿って判断します。通常業務へ戻す条件も決めます。

事故対応の訓練では、誤入力した本人を責める場にせず、最初の連絡が迷わずできるかを確かめます。管理者が不在の時間帯、外出先で気付いた場合、入力内容を正確に思い出せない場合も想定します。案件名や依頼者名を広い連絡網へ重ねて送らず、必要な相手へ必要な事実だけを渡す経路にします。

利用記録の点検では、利用回数の多さより、承認のない用途が増えていないか、担当外案件へアクセスできないか、期限や根拠を一次資料へ戻したかを見ます。新しい業務、新しい情報種類、新しい利用環境を追加するたびに、受付時の分類とアクセス区域を再審査します。便利だった一般案内の作り方を、そのまま個別案件へ広げないことが重要です。

教育では入力可能資料の暗記だけでなく、氏名を消しても再特定できる例、根拠のない期限が出る例、別案件の表現が残る例を扱います。相談しにくい承認経路や権限の穴が見つかれば、職員の注意力だけに頼らず体制を直します。案件受付、情報区域、専門家確認、事故対応までを自事務所に合わせて整理する際は、法人AI診断をご活用ください。